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MSBのよもやま話~注意点~

こんにちは!MSB更新担当の中西です!

 

MSBのよもやま話~注意点~

ということで、車両のバンニングにおける具体的な注意点と事前確認事項、積載テクニック、安全対策を深く解説します

 

積み込みから輸送まで、車の価値を守る“プロの段取り”

世界中で日本車の人気は高く、年間数十万台以上の車両が海上コンテナを使って輸出されています。
この際に必要となるのが、コンテナへの車両積載作業=車のバンニング(Vehicle Vanning)です。

しかし、車は精密機械であり重量物。バンニング作業中に傷、破損、転倒、液漏れ、通関違反が発生すると、輸出先でのクレームや損失につながります。


🚗 車両バンニングとは何か?基本の理解

◯ 車両バンニングとは

海上コンテナ(主に20ft・40ft)に、自動車を直接積み込む作業のこと
一般貨物と異なり、車輪がある・重量が偏る・内部に液体があるなどの特殊性があり、事前準備や固定方法に専門技術が求められます。


✅ バンニング前の事前確認事項(基本情報の把握)

1. 積載車両の仕様確認

  • 車種(乗用車/トラック/バン/建機など)

  • 車両サイズ(全長×全幅×全高)

  • 重量(GVW)と重心位置

  • 改造箇所・突出部・エアロパーツの有無

📌 特に車高が高い車は、コンテナ内高さ制限(40ftで約2.65m)に注意。

2. コンテナのタイプと内寸確認

  • 20ft / 40ft / 40ftHC(ハイキューブ)

  • コンテナ内寸、扉開口寸法、高さ制限

  • フラットラックを使用する特殊事例も

3. 搬入・積載環境の確認

  • コンテナランプ(スロープ)の有無・角度

  • フォークリフト or 自走式での積載?

  • 周囲の作業スペース、光量、安全動線


🛠 実際の積載作業での注意点(技術・安全・品質)

✅ 1. 車両の固定方法とポイント

固定部位 方法
タイヤ ラッシングベルト+ホイールチョーク(輪止め)
シャーシ(車体下部) ワイヤー、ラチェット式バンド固定
サスペンション付近 負荷がかからないようゴムパッド使用

📌 固定不良による転倒事故や車体の移動は最も多いクレーム原因です。

✅ 2. 液体・バッテリー・燃料系の注意

  • 燃料は原則10%以下に減らす(船会社・国によって規定あり)

  • バッテリーの端子は外す or 絶縁処理

  • エアコン冷媒・オイル類の漏れがないか点検

📌 IMDGコードに基づく危険物分類で、違反があると出港不可やペナルティの対象に。

✅ 3. 輸送中の車体保護対策

  • 車体カバー(フェンダーカバー/布製シート)の使用

  • ミラー・ワイパー・アンテナ類の取り外し or 緩衝材巻き

  • 床との接触箇所にはゴムパッドや木板で保護


📋 書類・通関・検査対応の注意点

✅ 1. 積載記録の徹底

  • 車両のVIN番号、カラー、写真撮影

  • 外観の傷・汚れの事前チェックリスト

  • 積載後のコンテナシール番号の記録

✅ 2. 輸出通関との整合性

  • インボイス・パッキングリストとの一致確認

  • 車検証や抹消登録書類の提出

  • 一部国ではFumigation証明(燻蒸)や消毒処理が求められる

📌 書類と現物に不一致があると、税関でストップがかかり出港できないことも。


⚠ よくある失敗・トラブル事例とその対策

トラブル 原因 防止策
車両がコンテナに入らない 寸法確認不足 事前にシミュレーション・寸法測定
固定バンドが緩む・外れる 荷重分散不良/取付不足 専用バンド+ダブルチェック
移動中に車体が破損 緩衝材不足・振動 各所をクッション材で保護
書類と実物が不一致 手配ミス・VIN番号誤記 バンニング時に写真+チェックリスト活用

✅ 車両のバンニングは「細部こそ命」

自動車は高額かつ複雑な精密製品です。
そして、バンニング時のわずかな不注意が、数十万円〜数百万円の損害につながることも珍しくありません。

だからこそ、車両のバンニングには「確認・記録・保護・安全」すべてを兼ね備えた精密な段取りと現場力が求められます。


🔍 バンニング前のチェックリスト(車両輸出用)

カテゴリ 確認項目
車両情報 車種・サイズ・重量・特殊部品の有無
コンテナ サイズ・高さ・床状態・通気口の確認
固定資材 ラッシングバンド、チョーク、緩衝材
安全対応 傷確認、端子処理、燃料量、作業動線
書類対応 インボイス、VIN番号、写真記録、シール番号

 

 

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