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皆さんこんにちは!
MSB、更新担当の中西です!
~“コンテナ一本”~
港や倉庫で、フォークリフトがコンテナに荷物をどんどん積み込んでいく光景を、テレビやYouTubeで見たことがある方も多いかもしれません。
でも、多くの人のイメージはこんな感じではないでしょうか?
「コンテナに荷物をどんどん詰めていくだけの仕事でしょ?」
「フォークリフトで入れて、扉を閉めれば終わりなんじゃないの?」
「単純作業っぽいけど、違いなんてあるの?」
実はそのイメージ、半分正解で半分まちがいです。
コンテナに荷物を入れる、という意味ではたしかにその通り。
でも、私たちバンニング業から見ると、一本のコンテナには“たくさんの責任と工夫”が詰まっているんです
今回は、そんなバンニング業の現場のリアルと、
「ただ詰めるだけじゃない」職人としてのこだわりを、できるだけ分かりやすくお話してみたいと思います
バンニング(Vanning)とは、
コンテナの中に貨物を積み込む作業のことを指します。
輸出入物流では、
20フィートコンテナ
40フィートコンテナ
冷凍・冷蔵コンテナ(リーファー)
など、さまざまなコンテナが使われていますが、
そこに「どんな順番で」「どんな固定方法で」「どれくらいの量を」入れるのかを考え、実際に積み込むのが私たちの仕事です
一見シンプルに見えますが、実はこんな要素を同時に考えます
荷物の重さ・形・強度
コンテナの耐荷重・床の強度
海上輸送中の揺れ・衝撃
荷崩れ防止の固定・ラッシング方法
荷受け側の「降ろしやすさ」
つまり、「テトリス+安全設計+現場の段取り」を一気にやる仕事なんです✨
バンニングで一番大事なのは、ズバリ積み方の設計力です。
同じコンテナ、同じ荷物でも、
積み方が悪いと → 荷崩れ・破損・最悪の場合はコンテナ事故
積み方が良いと → 安全でムダなく積めて、コストも時間も削減✨
というくらい、結果に差が出ます。
重たいパレットを入り口側にだけ積んでしまう
→ 重心が偏り、トレーラー走行中に危険になることも
ダンボールを何段も積み上げて、途中に隙間が多い
→ 海上輸送の揺れで箱がつぶれ、商品が破損
長尺物(パイプ・木材など)の固定が甘い
→ ブレーキや揺れで前後に動き、他の貨物を巻き込んで損傷
バンニングのプロは、コンテナの前で一度立ち止まり、
**「この荷物たちを、どう配置すれば安全で効率的か」**を頭の中で組み立ててから動きます
現場のイメージが湧きやすいように、
とある日のスケジュールをざっくりご紹介します
何本のコンテナを、何時のトラックに載せるのか
荷物の種類(ダンボール・パレット・鉄製品・木箱など)
行き先の国や港(揺れ方・温度・荷役環境もイメージ)
を確認します。
そのあと、現物の貨物を見ながら
ラベルや表示の確認(天地無用・横積み厳禁・重量表示など)
箱の強度・中身のイメージ
パレットの状態(割れ・ガタつきがないか)
ここでのチェックが甘いと、後のトラブルにつながるのでかなり慎重です
コンテナがシャーシに載せられて倉庫前に着いたら、いよいよ作業開始。
まずは貨物をコンテナの近くまで集める
積み込み順に並べなおす(奥から入れる荷物を手前に置いておく)
フォークリフトと手作業を組み合わせて、奥から順に積んでいく
このとき、
**「高さ」「左右の重さ」「前後のバランス」「荷崩れリスク」**を常に意識します。
コンテナの中で
均等に荷重がかかっているか
柱や壁に一点だけ荷重が集中していないか
など、目だけでなく体の感覚も頼りにしながら詰めていきます
昼休憩の合間に、午後のコンテナの内容を確認。
どの順番で積めば効率的か
どのラッシング資材をどれくらい使うか
時間に余裕がない場合、先に準備しておくことはないか
など、段取り力が問われる時間帯です。
午後も次々コンテナが入ってきます。
1本め・2本めと比べて、作業員の疲れも出てくる時間帯ですが、
最後の1本まで品質を落とさないことがプロの仕事です。
バンニング終了後は、
荷崩れ防止用のラッシング・ストラップ・木材の固定状況
天井とのクリアランス
ドア側の荷物の状態
をしっかり目視確認し、写真にも残します
最後にドアを閉め、封印(シール)を付けたら、そのコンテナの“海の旅”がスタートです✨
バンニング業では、常に「安全」という言葉がつきまといます。
私たちが意識しているのは、次の3つの安全です
フォークリフトと人の動線を分ける
コンテナ内での転倒・落下防止
荷物の倒れ込みによる挟まれ事故防止
暑い日・寒い日・雨の日も関係なく作業が続くので、
ヘルメット・安全靴・反射ベストなどの着用はもちろん、
声かけや指差し確認も徹底します♂️♀️
荷崩れしないように、ラッシングや突っ張り棒を使う
箱の強度に応じた積み上げ段数にする
水濡れ厳禁の荷物は、床から少し浮かせてパレットに載せる
「無事に届いて当たり前」の裏側で、
たくさんの“当たり前じゃない工夫”が隠れています✨
トレーラー走行時に偏荷重になっていないか
ブレーキ時・カーブで荷物が動かないか
海上輸送中の揺れを想定した積み方になっているか
ここは、バンニング業者の経験と知識の見せどころ。
「輸送中の最悪のシナリオ」を想像し、それを潰す積み方を常に考えています
荷主さま・物流会社さまからすると、
「バンニングって、どの会社に頼んでも同じでしょ?」
と思われがちですが、実は差が出やすい部分です。
選ぶポイントをいくつか挙げてみます
✅ 積み込みプランを“考えている”か
→ ただ指示通りに積むだけなのか、自社でレイアウトを組んでくれるのか
✅ 荷姿や固定方法について、きちんと提案・相談に乗ってくれるか
→ 「この包装のままではリスクがあります」と言えるか
✅ 荷崩れや破損のトラブルが起きた時、原因を一緒に考えてくれるか
→ 責任の押し付け合いではなく、改善案まで出してくれるか
✅ 作業記録(写真・バンニングレポート)を残してくれるか
→ 荷主・荷受け側の安心材料になります
バンニング業は「コンテナに荷物を詰める」だけの仕事ではなく、
安全・品質・コスト・輸送効率を同時に考える現場仕事です。
一本のコンテナには、
荷主さまの想い・荷受け側の期待・運ぶ人の責任が詰まっています。
私たちバンニングのプロは、
「何事もなく無事に届いた」という“当たり前”をつくるために、
毎日、汗をかきながらコンテナの中で工夫を積み重ねています
次にもし、港や倉庫の近くでコンテナバンニング作業を見かけたら、
「ただ積んでいるだけ」ではなく、
**“一本のコンテナに頭と体をフル回転させている現場”**なんだと、少しだけ思い出してもらえたら嬉しいです
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