オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2025年11月14日

MSBのよもやま話~“コンテナ一本”~

皆さんこんにちは!

MSB、更新担当の中西です!

 

~“コンテナ一本”~

 

港や倉庫で、フォークリフトがコンテナに荷物をどんどん積み込んでいく光景を、テレビやYouTubeで見たことがある方も多いかもしれません。

でも、多くの人のイメージはこんな感じではないでしょうか?

  • 「コンテナに荷物をどんどん詰めていくだけの仕事でしょ?」

  • 「フォークリフトで入れて、扉を閉めれば終わりなんじゃないの?」

  • 「単純作業っぽいけど、違いなんてあるの?」

実はそのイメージ、半分正解で半分まちがいです。
コンテナに荷物を入れる、という意味ではたしかにその通り。
でも、私たちバンニング業から見ると、一本のコンテナには“たくさんの責任と工夫”が詰まっているんです

今回は、そんなバンニング業の現場のリアルと、
「ただ詰めるだけじゃない」職人としてのこだわりを、できるだけ分かりやすくお話してみたいと思います


1. そもそも「バンニング」とは?

バンニング(Vanning)とは、
コンテナの中に貨物を積み込む作業のことを指します。

輸出入物流では、

  • 20フィートコンテナ

  • 40フィートコンテナ

  • 冷凍・冷蔵コンテナ(リーファー)
    など、さまざまなコンテナが使われていますが、
    そこに「どんな順番で」「どんな固定方法で」「どれくらいの量を」入れるのかを考え、実際に積み込むのが私たちの仕事です

一見シンプルに見えますが、実はこんな要素を同時に考えます

  • 荷物の重さ・形・強度

  • コンテナの耐荷重・床の強度

  • 海上輸送中の揺れ・衝撃

  • 荷崩れ防止の固定・ラッシング方法

  • 荷受け側の「降ろしやすさ」

つまり、「テトリス+安全設計+現場の段取り」を一気にやる仕事なんです✨


2. バンニングは“積み方”次第で結果が変わる仕事⚖️

バンニングで一番大事なのは、ズバリ積み方の設計力です。

同じコンテナ、同じ荷物でも、

  • 積み方が悪いと → 荷崩れ・破損・最悪の場合はコンテナ事故

  • 積み方が良いと → 安全でムダなく積めて、コストも時間も削減✨

というくらい、結果に差が出ます。

✅ たとえば、こんなパターン

  • 重たいパレットを入り口側にだけ積んでしまう
    → 重心が偏り、トレーラー走行中に危険になることも

  • ダンボールを何段も積み上げて、途中に隙間が多い
    → 海上輸送の揺れで箱がつぶれ、商品が破損

  • 長尺物(パイプ・木材など)の固定が甘い
    → ブレーキや揺れで前後に動き、他の貨物を巻き込んで損傷

バンニングのプロは、コンテナの前で一度立ち止まり、
**「この荷物たちを、どう配置すれば安全で効率的か」**を頭の中で組み立ててから動きます


3. ある一日のバンニング現場の流れ⏰

現場のイメージが湧きやすいように、
とある日のスケジュールをざっくりご紹介します

① 朝イチ:本日の案件確認&荷物チェック

  • 何本のコンテナを、何時のトラックに載せるのか

  • 荷物の種類(ダンボール・パレット・鉄製品・木箱など)

  • 行き先の国や港(揺れ方・温度・荷役環境もイメージ)

を確認します。

そのあと、現物の貨物を見ながら

  • ラベルや表示の確認(天地無用・横積み厳禁・重量表示など)

  • 箱の強度・中身のイメージ

  • パレットの状態(割れ・ガタつきがないか)

ここでのチェックが甘いと、後のトラブルにつながるのでかなり慎重です

② 午前:1本目・2本目のコンテナバンニング開始

コンテナがシャーシに載せられて倉庫前に着いたら、いよいよ作業開始。

  • まずは貨物をコンテナの近くまで集める

  • 積み込み順に並べなおす(奥から入れる荷物を手前に置いておく)

  • フォークリフトと手作業を組み合わせて、奥から順に積んでいく

このとき、
**「高さ」「左右の重さ」「前後のバランス」「荷崩れリスク」**を常に意識します。

コンテナの中で

  • 均等に荷重がかかっているか

  • 柱や壁に一点だけ荷重が集中していないか

など、目だけでなく体の感覚も頼りにしながら詰めていきます

③ お昼:次の案件の段取りタイム

昼休憩の合間に、午後のコンテナの内容を確認。

  • どの順番で積めば効率的か

  • どのラッシング資材をどれくらい使うか

  • 時間に余裕がない場合、先に準備しておくことはないか

など、段取り力が問われる時間帯です。

④ 午後:ラストスパート&最終チェック✅

午後も次々コンテナが入ってきます。
1本め・2本めと比べて、作業員の疲れも出てくる時間帯ですが、
最後の1本まで品質を落とさないことがプロの仕事です。

バンニング終了後は、

  • 荷崩れ防止用のラッシング・ストラップ・木材の固定状況

  • 天井とのクリアランス

  • ドア側の荷物の状態

をしっかり目視確認し、写真にも残します

最後にドアを閉め、封印(シール)を付けたら、そのコンテナの“海の旅”がスタートです✨


4. バンニング現場で大切にしている「3つの安全」

バンニング業では、常に「安全」という言葉がつきまといます。
私たちが意識しているのは、次の3つの安全です

① 作業する人の安全

  • フォークリフトと人の動線を分ける

  • コンテナ内での転倒・落下防止

  • 荷物の倒れ込みによる挟まれ事故防止

暑い日・寒い日・雨の日も関係なく作業が続くので、
ヘルメット・安全靴・反射ベストなどの着用はもちろん、
声かけや指差し確認も徹底します‍♂️‍♀️

② 荷物の安全

  • 荷崩れしないように、ラッシングや突っ張り棒を使う

  • 箱の強度に応じた積み上げ段数にする

  • 水濡れ厳禁の荷物は、床から少し浮かせてパレットに載せる

「無事に届いて当たり前」の裏側で、
たくさんの“当たり前じゃない工夫”が隠れています✨

③ 走行・海上輸送時の安全

  • トレーラー走行時に偏荷重になっていないか

  • ブレーキ時・カーブで荷物が動かないか

  • 海上輸送中の揺れを想定した積み方になっているか

ここは、バンニング業者の経験と知識の見せどころ。
「輸送中の最悪のシナリオ」を想像し、それを潰す積み方を常に考えています


5. 「いいバンニング会社」を選ぶポイント

荷主さま・物流会社さまからすると、

「バンニングって、どの会社に頼んでも同じでしょ?」

と思われがちですが、実は差が出やすい部分です。
選ぶポイントをいくつか挙げてみます

  • ✅ 積み込みプランを“考えている”か
    → ただ指示通りに積むだけなのか、自社でレイアウトを組んでくれるのか

  • ✅ 荷姿や固定方法について、きちんと提案・相談に乗ってくれるか
    → 「この包装のままではリスクがあります」と言えるか

  • ✅ 荷崩れや破損のトラブルが起きた時、原因を一緒に考えてくれるか
    → 責任の押し付け合いではなく、改善案まで出してくれるか

  • ✅ 作業記録(写真・バンニングレポート)を残してくれるか
    → 荷主・荷受け側の安心材料になります


6. まとめ:一本のコンテナには、“人の技術と責任”が詰まっている✨

  • バンニング業は「コンテナに荷物を詰める」だけの仕事ではなく、
    安全・品質・コスト・輸送効率を同時に考える現場仕事です。

  • 一本のコンテナには、
    荷主さまの想い・荷受け側の期待・運ぶ人の責任が詰まっています。

  • 私たちバンニングのプロは、
    「何事もなく無事に届いた」という“当たり前”をつくるために、
    毎日、汗をかきながらコンテナの中で工夫を積み重ねています

次にもし、港や倉庫の近くでコンテナバンニング作業を見かけたら、
「ただ積んでいるだけ」ではなく、
**“一本のコンテナに頭と体をフル回転させている現場”**なんだと、少しだけ思い出してもらえたら嬉しいです

 

language