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MSBのよもやま話~品質~

皆さんこんにちは!

MSB、更新担当の中西です!

 

~品質~

輸送トラブルの多くは、航路やトラック区間の“外で”起きているように見えて、原因はコンテナの中=バンニング品質に潜んでいます。詰め方・固定・防湿・記録の4点を設計できれば、損傷率を下げる/通関・配送の遅延を抑える/TEUあたりコストを圧縮するが同時に進みます。本記事は現場でそのまま使える手順とチェックリストをまとめた“実装ガイド”です。


1. KPIに効く「設計」の全体像

  • 充填率(容積効率)=実貨物容積÷コンテナ内法容積

  • 損傷率=損傷数量÷出荷数量

  • TEUあたり原価=(運賃+資材+工数+クレーム費)÷TEU

  • リードタイム=出荷~引渡しの総時間

ポイント:充填率だけを追うと損傷率が上がりやすい
充填率70~85%を目安に、固定力・荷姿保護・防湿を同時に最適化するのが現実解。


2. 積み付け(ローディング)設計の基本

2-1. 重量と重心のルール

  • 重い・硬い・低摩擦の貨物は中央(コア)に、軽量物は外周で“壁”を作る。

  • 前後・左右の重量偏りを最小化。パレットの向きは長手を走行方向へ合わせると荷崩れに強い。

2-2. 空隙(スキ間)の扱い

  • 空隙は局所的に集中させない。分散配置+エアバッグで面圧を作る。

  • 長手方向の空隙は木材ダンネージスプレッダーボードでブレーキ。

2-3. 段積みと面圧

  • 段積み可否は荷姿の耐圧指標(段ボールならBCT/ECT相当、木枠なら支柱設計)で判断。

  • 角当たりを避けるコーナーパッド/ハニカムボードで面圧に変換。


3. 固定(ラッシング)最適化の考え方

3-1. 資材の使い分け

  • ベルト&ラチェット:再現性が高く時短。

  • ワイヤ/チェーン:重量物や局所固定点に。

  • エアバッグ:空隙充填と面圧付与。

  • 木材ダンネージ:長手方向のストッパー、床・壁への吸収材。

3-2. 設計の順序

  1. 想定加荷方向(前後・左右・上下)を洗い出す

  2. 固定点(ラッシングリング、フロア、壁)を選定

  3. 固定本数・角度・ルートを決める(交差掛けで横ズレ抑制)

  4. 締付け管理(ベルトはラチェット段数/ワイヤはターンバックル位置で見える化)

コツ:固定後は体当たり・揺すりで初期伸び分を吸収→再テンション


4. 防湿・結露対策(コンテナレインを防ぐ)

  • 乾燥剤:吸湿量の目安を航路・積載水分で見積もる。台紙貼りで回収漏れを防止。

  • ベーパーライナー:長距離・高湿航路向け。内張りで結露滴下を遮断。

  • 敷板・スリップシート:床面の残留水分や汚れを隔離。


5. 目に見える品質:写真・計測ログ

  • 定点写真:①空荷全景 ②1/3積み ③2/3積み ④満載 ⑤固定・防湿材 ⑥ドア閉直前

  • データロガー:温湿度・傾き・衝撃の最小セット。異常時は時間軸で原因区間を特定。

  • ラベル:コンテナ番号/シール番号/封印時刻を写真に写し込む。


6. ミニケース:破損率2.1% → 0.4%へ

  • 課題:重量物パレットと軽量箱の混載で横ズレ・角潰れ発生。

  • 施策
    ①中央へ重量物を再配置(外周は軽量箱で“壁”)
    ②長手空隙にダンネージ追加+ベルト交差掛け
    ③エアバッグで面圧を作り、角部はコーナーパッド
    ④乾燥剤増量+定点写真の徹底

  • 結果:3出荷サイクルでクレーム費▲80%平均LT▲1.2日(再出荷・再手配が減少)


7. 今日から使える:バンニング10項目チェック

  1. 積付け図(レイアウト)はあるか

  2. 重量物は中央、軽量物は外周で“壁”になっているか

  3. 前後・左右の重量バランスに偏りはないか

  4. 長手・短手の空隙は許容範囲か(集中していないか)

  5. 固定資材の種類・本数・角度は妥当か

  6. コーナー保護・面圧化はできているか

  7. 乾燥剤・ベーパーライナー等、防湿は十分か

  8. 写真ログは6カット以上撮ったか

  9. ラベル(コンテナ番号・封印番号・時刻)は写真に写っているか

  10. ドアクローズ後、外観と封印を再確認したか


8. 標準作業(SOP)テンプレ(抜粋)

  1. 積付け図確認資材準備(ベルト・木材・エアバッグ・乾燥剤)

  2. 床面清掃ライナー・敷板

  3. 重量物から積付け外周に軽量物

  4. 固定&再テンション角部保護

  5. 乾燥剤設置定点写真6カット

  6. 封印・記録出荷書類添付


バンニングは“現場の勘”でなく設計と再現性で勝てます。

  • 充填率は**70~85%**を狙い、固定・面圧・防湿をセットで設計。

  • 写真とログで原因を追える化すれば、クレームコストもLTも下がります。

 

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