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MSBのよもやま話~バンニング術~

皆さんこんにちは!

MSB、更新担当の中西です!

 

~バンニング術~

混載は詰め切れば壊れる/守ればスカスカのジレンマとの戦いです。解決策は“勘”ではなく、ゾーニング(配置)×荷姿変換×固定×環境管理の4点を段取り化すること。本記事は、家具・家電・機械部材・食品・紙製品など異なる特性の混載を安全に詰め切るための、実務手順とテンプレを提供します。


1. 混載で起こる典型トラブルと背景

  • 点荷重・角当たり:硬いエッジが柔い箱に刺さる。

  • 滑り・横ズレ:低摩擦材の組合せで加速時に移動。

  • 振動共振:本体・パレット・床の固有振動数が一致して破壊が進む。

  • 結露・匂い移り:温湿差や揮発成分の吸着で品質劣化。

  • 強度不足の段積み:BCT/ECT相当の耐圧不足で潰れ。

対処は**“点を面に、隙を面圧に、負荷を分散”**が原則。


2. ゾーニング:レイアウトの勝ち筋

2-1. コア&外周モデル

  • 中央(コア):重い・硬い・低摩擦の貨物。

  • 外周:軽量箱で壁を形成し、全体の面圧を上げる。

  • 入口側崩れにくいブロックで閉じる(ドア開閉時の安全)。

2-2. スキ間管理

  • 長手方向の空隙は木材ダンネージで埋める。

  • 短手方向・局所空隙はエアバッグ+ハニカムで面圧化。

  • 空隙は一箇所集中を避けて分散する。


3. 荷姿変換と段積み設計

3-1. 荷姿変換

  • パレット化:不定形物や袋物に有効。

  • カバーリング:角当たり回避、面圧化。

  • 外装強化:コーナーパッド、バンド掛け、シュリンク。

3-2. 段積み

  • 段積み可否は**耐圧(箱/木枠/天板)**で決める。

  • 千鳥積みは荷重分散に有利、ブロック積みは段差が少なく固定しやすい。

  • 中間にスプレッダーボードを入れて面圧を均等化。


4. 固定資材の選定チャート(簡易)

  • 軽量・箱主体:ベルト十字掛け+エアバッグ+ハニカム

  • 重量混載:ベルト交差掛け+木材ストッパー(床固定)

  • 長尺物:側壁・床の複数点で拘束し“回転”を封じる

  • 不定形機械簡易治具を内製し、固定点を“人工的に作る”

仕上げは再テンション。固定後に貨物を揺すり、伸びを取ってから本締め。


5. 環境(温湿度・薬剤・匂い)マネジメント

  • 食品×金属の混載:匂い移り・防錆に配慮し分離ゾーンを設ける。

  • 紙×高湿航路:乾燥剤増量+ベーパーライナーで吸湿・膨れを防止。

  • 薬剤・溶剤系密封/吸着材で揮発対策、他貨物との距離を確保。


6. シナリオ別ミニケース

  • A:家具+金属部品+紙製品

    • 家具は外周で“壁”、金属は中央にまとめる。紙製品には防湿優先ゾーンを設定。角部にハニカム、金属側は防錆紙で養生。

  • B:大型家電+小箱多数

    • 家電を中央。周囲の小箱は千鳥積みで面圧を確保し、エアバッグで空隙を消す。入口側はブロック積みで“蓋”。

  • C:不定形機械

    • パレット上に簡易治具(2×4材+金具)で固定点を作成。ラチェットベルトを交差させて回転抑止。突出部はコーナーパッド+養生


7. 段取りテンプレ:混載設計の5ステップ

  1. データ採取:寸法・重量・外装強度(箱:段数想定、木枠:支柱情報)・表面特性(滑り/硬さ)

  2. ゾーニング:中央=重・硬・低摩擦、外周=軽・面圧用

  3. 荷姿変換案:パレット化・カバーリング・外装強化

  4. 固定計画:資材の種類・本数・角度・空隙の面圧化

  5. 検証:定点写真・揺すり→再テンション・チェックリスト記録


8. 現場で使う「混載バンニング20チェック」

  1. 積付け図は混載前に作成したか

  2. 重量物は中央に集約・高さも整えているか

  3. 軽量箱は外周で壁になっているか

  4. 入り口側は崩れにくいブロックで閉じているか

  5. 長尺物は回転を抑える固定ができているか

  6. 空隙は分散し、エアバッグ・ハニカムで面圧化したか

  7. 段積みは耐圧(箱/木枠)を満たす設計か

  8. 天板・中間板で荷重を面に広げたか

  9. 角当たりはコーナーパッドで保護したか

  10. ベルトやワイヤの交差掛けで横ズレを抑えたか

  11. 固定後に再テンションを実施したか

  12. 乾燥剤・ベーパーライナーは航路に対して十分か

  13. 匂い・薬剤の影響がある貨物を分離したか

  14. 金属部材は防錆紙・オイル紙で養生したか

  15. 温湿度・傾き・衝撃ロガーを設置したか

  16. 定点写真(6カット以上)を撮影したか

  17. コンテナ番号・封印番号・封印時刻を記録したか

  18. 書類(積付け図・チェックリスト)を添付したか

  19. ドアクローズ前に最終目視を行ったか

  20. 荷受地での開扉手順と撮影指示を共有したか


9. 成果を定着させる“仕組み化”

  • テンプレ化:積付け図、チェックシート、写真アングル見本を“型”に。

  • 資材標準:ベルト・エアバッグ・木材サイズの“標準表”。

  • 教育:新人はゾーニング模型で原理学習→実貨物でOJT。

  • フィードバック:荷受地の開梱写真を必ず回収し、原因→対策を更新。


混載の肝は、点を面に、隙を面圧に、負荷を分散
ゾーニング→荷姿変換→固定→環境管理を段取り化すれば、詰め切りと無損傷は両立します。

 

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